天才科学者になりたい我が子を応援中

うちの子の夢は、天才科学者になって、リアルガンダムを作ること。その夢を実現させ幸せな大人になれるよう応援する母の日記です。

つまらない子供の作文を何とかしたい!でも、親のエゴなのかも。

夏休み。絵日記や読書感想文に苦労している子供も多いのではないでしょうか。

うちの子の作文も、本人には言えないですけど、メチャメチャつまらないです。

ありがちな、“○○へ行きました。○○をしました。次に○○をしました。楽しかったです。”

というパターンがほとんど。ちなみに、最後の“楽しかったです”は、本当に思っているわけではなく、何か感想を書かなくてはいけないから、仕方なく義務で書いているだけ。

読書は好きで、クラスでも一番たくさんの本を図書室から借りて読んでいるのに、この表現力の乏しさ。一体、なんなんでしょう。

「その感想を、たまには少し違う言葉で書いてみたら?」と提案してみたりするのですが、息子は考えるのが面倒らしく「え~、なんで~? これじゃ駄目なの~?」と不満タラタラで、結局はそのまま。

あまり無理に変えさせるのは私の自主性第一主義に反するし、まだ小さい内はこんなものかな~と思っていましたが、さすがに4年生になってもこの内容では問題なんじゃ・・・と心配になります。


ちなみに、出口汪さんの、「論理エンジンー読解・作文トレーニング」 を買い与えてみた事があるのですが、3ページしただけで、見向きもしなくなりました。ネットでの評判もいいし、私がみてもよくできた教材だと思うドリルだったのですけどネ。

一方、同じときに買った算数のドリルはどんどん進めて終わらせていたので、この分野への興味が本当に薄いんだな~、徹底してるな~と、ある意味、感心。

本人の興味がないなら、親の工夫でなんとかならないものか。そこで、関心のない本人も嫌がらずに面白い作文を書かせる方法はないかと、作文関連の本を何冊か読んでみました。

 

まず、大御所の書かれたこれ。

大人向けに開かれた文章講座を、本にまとめたものです。日本語そのものの特徴に関する解説が多いなあという印象です。大人がより上手に文章を書く参考にはなりますし、日本語に関する面白いトリビアもあります。

例えば、日本語には鳥の鳴き声を表現する言葉が多く、小鳥はサエズル、にわとりは(時を)ツゲル、ほととぎすはナノル、くいなはタタク。といった豆知識とか。

ただ、大人向けに話されたことなので当然なのですが、子供の作文がどうすれば面白くなるかというヒントは多くありませんでした。

しかしそんな中でも目から鱗だったのは、日本の国語における作文教育は間違っていると指摘されていること。

私なりに要約すると、

“日本では、その子の頭の中で起こったこと、つまり思ったことや感じたこと、を書くように言われるが、これは大人でも難しい。

たとえばイタリアの学校ではそんな事は要求されず、ただ物事を観察して、起こったことを客観的に書くことから学ぶ。

日本の国語教育では、みんなを作家や詩人に育てるかのような指導がされているが、そんな必要はない。

さらに、何とか書きあげたものが、大人の意向に沿わない内容だと間違いになり、子供にとってはふんだりけったり。そして、作文嫌いが増えていく。

読書感想文にしても、いきなり感想を書かせるのではなく、読んだ本の話を短くまとめる事から始めるべき。

まずは、観察・要約・報告の文章をたくさん書く練習を”

と話されています。

 

その通りですよね。私自身、自分の考えていることを書くのは難しいと常に感じています。作家になりたい訳でもないのに、子供にそんな事を要求する必要はないのかも。

井上ひさしさんの指摘に少し感動して、夕食のときにそんな話をしていたら、夫が「そうなんだよ!」と熱弁をふるい始めました。

なんでも、小学2年生のときに遠足のことを作文に書くよう宿題が出たのだそうです。で、主人が書いたのは、遠足の日の下校時の出来事。

帰り道、“こんなことを書こう、こんな風に書こう”と一生懸命に構想を考えて、力作が完成。

その結果・・・、先生からは大目玉。「工場見学に行ったでしょう。そのときの事を書きなさい!!」と、すごい剣幕で叱られたそうです。

「バスの中で、家に帰り着くまでが遠足ですって言ってたのによ~。なんで怒られるんだ!?」と、今でも納得いかない様子。

私も、面白い着眼点だと思うんですけど、真面目な先生には許せない内容だったのでしょうね。

主人は少し人と違う視点で物事を捉える人なので、その真面目な先生には、その後も何度も怒られたとか。逆に、その見方を面白がってくれる先生が担任だったときは、高く評価してもらえたらしい。

真面目な先生には作文受取拒否までされたそうなので、どれだけ相性が悪かったんだか。なのに、小学校6年間のうち、3年はその先生が担任。お互いにとって不幸ですよね。とくに彼にとっては、伸びていくべき時に、個性を否定されて頭ごなしに押さえつけられたのは、可哀想だったと思います。

先生との相性って、大きい!! でも選べませんから、はずれの先生と当ったときほど、家では丸ごと受け入れてあげる態勢が大事ですよね~。


さて、作文の話に戻って、次に読みましたのがこちら。

著者が開いていた作文教室で子供達が書いた作文と、それに対する著者の添削とコメントが中心の一冊。

正直に言うと、最初は、買って失敗したと思いました。半分は子供たちの作文で占められていて、それを楽しめる方には良いのですが、私はそれ程よそのお子さんの作文には興味がないので・・・。

でも、本書にも私を深く頷かせる指摘が!

“小学生に読書感想文を書かせるな。そんな宿題を出すな。読書感想文とはいわば書評のようなもので、大人でも難しいのに、それを小学生に書けというのは無茶である。

作文が嫌いになって、読書も嫌いになる、二重の害があるのだ。

さらに、読書感想文という課題には、子供の自由な感想ではなく、主人公のように立派に生きたいと思いました、なんてきれい事を言わせる強迫力がある。

せっかくのびのびとユニークな文章を書き始めていた子でも、夏休みに読書感想文を書くと、いい子ぶって、いい作文を書いてしまった後遺症で、しばらくは、ぎこちないつまらない文章に戻ってしまう。  

子供に読書感想文を書かせるのは愚かなこと”

といった主張です。井上ひさしさんの仰っている事と似ています。お二人とも文章のプロであるからこそ、どれだけ難しい事を子ども達に要求しているのかということが、よくお分かりになるのではないでしょうか。

子供のころの私も、読書感想文は大嫌いでした。

私が本を読んで何を感じようと、私の勝手でしょう。好きに読ませてよね~と思っていました。うちの子にも、読書感想文は文部科学省の愚策だから、テクニックでササッと書いて深く考えるなと言ってあげよう。

そして、本書で気付かされた重要な点がもう一つ。

作文教室の生徒のひとり、加古有里さん。著者の講評で、長い期間、「あったことを、ただ、あった、と書くだけ。心がからんでこない」と言われる状態が続き、うちの息子と似ているので、最後にどうなるのか気にしつつ読み進めました。

結果として、加古さんは、最後まで心はあまりからんできませんでした。でも、著者はそれで良いのではないかと考えるようになったと書いています。なぜなら、加古さんは、他の子よりも観察眼がすぐれているから。心はみえないけれど、見事な観察眼で、また別の意味で豊かな文章を書いている。

どうしても心の動きを書かせようとしてしまうけれど、関心がそっちへ向かない、そういう個性の子もいるのだ。そういう子には、見事な観察文や報告文を書かせる方向で指導するのが正しいのではないか、という思いに著者は至ったのだそうです。

確かに、最後に紹介されている加古さんの作文は、ほとんどが観察した事だけで書かれていましたけど、多分その子にしか書けない(気付けない)内容で、すごく良い文章になっていました。

これも、井上ひさしさんの指摘と似ているのですが、必ずしも皆を小説のうまい子に育てる必要はないですよね。

うちの子も、将来的には、ロボットの仕様書やプロジェクトの説明書が書けるようになれば良いわけなので、加古さんのように、観察眼を伸ばし、客観的な事実を詳細に伝えられる文章を書く方向で指導してみようかな。

 

とは思いつつ、ほんの少しだけでもいいから楽しい内容にしてほしい親のエゴは捨てきれず、もう一冊読んでみました。 

これも、作文教室を開いている方の本。なぜ作文で学力が伸びるのかという話、こうすれば面白い作文が書けるというテクニック的な話、作文教室で子供達が書いた作文とそれに対する著者のコメント等がまとめられています。

掲載されている子供達の作文は、勢いと個性があります。こんな作文を息子が書いてくれたら、私ももう少し楽しんで読めるのに~という思いがまたムクムクと・・・。

ストーリー性をもたせると良い、台詞から文章を始めると良い、などのテクニック的なことも解説してくれていますので、取り入れれば、おそらく文章が変わると思います。

また、この著者も、感想はそうたくさんは書けないと仰っていて、そのかわり、事実にストーリー性をもたせて書けば面白い作文になると。

具体的なテクニックに関する情報量は、この本が一番多いです。ただ、うちの子に、どうやってそのテクニックを使わせるか。うまく誘導できるか否かが問題です。

 

今回、3冊の本を読み、気持ちを書かせることにこだわるのは止めようと決心しました。

事実を詳しく書く方向で、それとなく指導していきたいなぁ。聞く気があるようなら、芦永さんの本に書いてあるテクニックも少し教えてみます。

どうなりますか。